――その後。


「おい、聞いたか上鳴」
「なによいきなり、なんの話よ」
「爆豪が真っ赤になりながら校内を爆走していて、切島が大声で愛の言葉を叫びながらその爆豪を追いかけてるって話」
「え、なにそれ超見たいんですけど」
「校内中走り回ってるみたいだからそのうち通るかもな」
「やべぇ、動画撮っておかねぇと」
「バレないよう気をつけろよ。バレたら確実に爆殺される」
「おう。えっ、つーかあいつようやく自覚したと思ったら速攻で告白したの?」
「まぁ、そうなるのか?」
「はぇ〜、鈍感なくせにそういうとこは迅速なのね」
「やっぱ昼休みのあれが効いたんだろうな」
「な〜。あの時からずーっと考え込んだりぼんやりしたり、あからさますぎて笑う」
「どんだけ先生に注意されるんだよっつーね」
「午後の授業それぞれ1回ずつは注意されてたよな」
「そのくせ、今の今まで自覚がなかったって言うんだから不思議」
「はたから見てたら切島が爆豪のこと好きなのは超バレバレなのにな」
「そんでさらに面白いのが俺らにこんだけ切島の想いがバレバレなのに、当の爆豪は全く気がついてないことだよな」
「爆豪も変なとこで鈍感だわー」
「あんなにあからさまなのに」
「そう、あんなにあからさまなのに」
「爆豪のことナシだナシだって騒いでたときとか露骨に不機嫌だったよな」
「身内感覚ってのは本当だけどさ、仮にそれがなくても、切島のやつがめっちゃ爆豪のこと好きってわかってんのに手なんて出せるわけねェっつーのにな」
「……まぁ、そもそも俺たちが下手にちょっかい出しても、爆豪相手じゃボッコボコにされて終わりだろうけど」
「精神的にも肉体的にもな……」
「…………」
「…………」
「いやいやいやいや、でも俺たちにとって爆豪がナシなのは勝算がないからとかじゃなくて、あくまでも友達が惚れてる女にちょっかい出すなんて最低なことだからだよな!」
「だよな! いくら俺がチャラ男でもそんなことするような薄情な男じゃないぜっ!」
「なー、はははははは!」
「ははははははうぇーい!」
「はは、はははは……、はぁ」
「ちょっとぉため息つかないでくださいぃ」
「ため息の一つもつきたくもなるわ」
「否定できぬ……。つか瀬呂はさぁ、あいつらうまくいくと思う?」
「う〜ん、爆豪が真っ赤だったって情報が確かなら、まぁ最終的にはうまくいくだろうなー」
「ですよねー」
「切島と爆豪がリア充カップルにかぁ……。しかもクラスで一番乗り」
「なんかめっちゃ釈然としない! ……けどまぁ、とりあえずは祝福しとくか」
「切島も爆豪も大事なダチだもんなー」
「ダチの幸せは祝わねぇとなー、くぅ〜、俺たちってマジ良いやつ!」
「って、あッ、おい上鳴!! 切島たち来たぞ!」
「マジで!? あっマジだ! って顔赤っ! ははっ、切島の髪の色みてぇ!」
「よし、早速祝うか上鳴!」
「がってん、いくぜ瀬呂!」
「「せーの」」
「切島ー!」
「爆豪ー!」
「「お幸せにー!!」」

「おうッ!! ありがとよー!!!」
「ありがとうじゃねぇわクソが!! てめぇら後でまとめてぶっ殺す!!」
おわり