「ん、く……ぅ、あ……っ」
 くちくちと音立てながら、切島の指が内部を撫でる。
 その指はやはりいつもと違った形をしていた。ごつごつと太い、見知らぬ大人の指。爆豪ははじめこそは深いところを撫でてくる指に思わず肩を揺らしたが、反射的に切島の頭を抱え込んだおかげですぐに動揺は消えた。切島のにおい。大丈夫。自分に触れているのは知らない誰かではない。
「平気か?」
「ん、ん……」
 こくりと爆豪は頷けば、切島はほっとしたように息を吐いてからさらに指を進めてきた。肉壁を掻き分けるよう進められるその感触に、きゅうきゅうと後孔が勝手に収縮をくり返す。時折、く、と指を曲げられて、骨張った関節部分に圧迫感が増した。
「いつもより、きついな」
「ってめぇの指が、でけぇせいだ、ろっ……!」
 俺のせいじゃない! と怒鳴れば切島は、いやべつになにも責めてはいないだろ、と笑いながら指を引き戻した。ずるずると肉壁が引っ張られ、縁が軽くめくられる。かと思えば、またすぐにと押し込まれて、爆豪は、うぅ、とうめいた。

 ぐ、ぐ、と中から腹側に向かって指が肉壁を叩く。そうされると、なんとも言えないような、たまらない感覚が下腹を襲ってきて、爆豪は抱えていた切島の頭に頬をうずめた。
 尖った髪がちくちくと頬をくすぐる。ちょっと痛くて、こそばゆい。爆豪はそのちくちくに意識を向けることで下腹を襲う感覚を誤魔化した。みっともない声はできるだけあげたくない。

「ひぅ、あッ……!?」
 だがしかし、ふいに下腹ではなく胸元からぴりっとした感覚が襲ってきて、爆豪は思わず声を上げた。肩を跳ねさせ、切島の髪から顔を離す。なんだっ、と視線を落とせば、切島の舌が爆豪の乳首をぺろぺろと舐めていた。それを見て、ぶわっ、と一気に頬が熱くなる。
「やっ、めろアホ!」
「いてててててッ!!」
 抱えていた髪をひっつかんで、爆豪はぐぅぅと切島を胸元から遠ざける。
「なにやってんだよ!」
「いや、だって! おめぇが俺の顔ぎゅうって胸に押しつけるから!」
「お、押しつけてねぇよ!!」
「いやいや、押しつけてたって!」
「っ、仮に押しつけてたからって舐めんな! いつも言ってんだろ!」
「無茶言うなよ! すぐ目の前におめぇの乳首があんのにスルーしろってか!!」
 そんなん無理に決まってんだろ!
 切島が大声で言う。ぐぐぐ、と爆豪は眉間にしわを寄せた。
 正直言って、胸元をいじくられるのはあまり好きじゃない。だって、乳首舐められて女のように感じるなんて、そんなの、好きになれるはずがない。
 あらぬところにあらぬものを突っ込まれている時点でいまさらではあるのだろうが、だからと言ってすんなりと胸元からの快感を受け止めるのは、やっぱり気恥ずかしいのだ。
 ましてや舌で、なんて、そんなの、そんなの!

 だが、難色を示す爆豪など気にも留めずに、切島はあーんと大きく口を開けると、そのままぱくりと胸元にかぶりついてきた。尖った舌先が乳首を舐め、かと思えば乳を飲む赤ん坊のようにちゅうと吸いつかれて、爆豪は背中を丸めた。
「あっ……、ん、てめぇ……!!」
「ふぇれるなっふぇ」
「そこっ、で、喋んなッ!」
 もう一度引きはがそうと赤い髪に手をかける。
「んあぁ……ッ!!」
 しかしその瞬間、ぐちゅ、と二本に増やした指で後ろを攻められて爆豪は逆に切島の頭をぎゅっと抱え込んでしまった。胸と後ろ、同時に攻められて腹の底が、きゅう、とする。
「ひ、ぅあ……っ、ん、ん……っっっ」
 ばらばらに指を動かされる。その指先が時折、中の良いところをかすめていって、そのたびに爆豪は殺しきれない喘ぎ声をいくつもこぼした。こんな声、出したくないのに止まらない。胸を舐めるなと文句を言う余裕もない。
「うぅ〜……っ、あ、く……んっ」
「ふぃもひいいーふぁ?」
「や、め……、あっ、うぅ、あッ」
 なんとか文句を言おうとしても、口を開いたタイミングを狙ったように切島が指を進めるもんだから、爆豪にはなにをどうすることもできなかった。
 切島の腕の中、身体を震わせながらただひたすら声をあげる。熱い。頬が、指先が、足が、腹が、いたるところがとても熱かった。

 いつの間にか三本に増やされた指が何度も何度も挿入をくり返して、じゅぽじゅぽと下品な音が部屋に大きく響いた。その音が大きくなっていくのと連動するように、身体の奥がじんじんと疼いていく。足りない。これだけじゃ、足りない。
 あぁッ、と爆豪はひときわ大きく喘いだ。
「きりし、ま……、あ、っ、きりしまッ、も、う……っ」
「ん、そろそろ大丈夫かな」
 指を抜きながら、切島はようやく胸元から顔を離す。さんざん舐められ吸われた爆豪の乳首はすっかり真っ赤に色づいてしまっていた。まじえっろい色。切島が言う。誰のせいだっ! と怒鳴れば、俺のせいだなと嬉しそうに笑った。余裕しゃくしゃくの態度。ぐぬぬと唇を噛みしめると、それやるなっていつも言ってるだろと注意された。


「腰上げられっか?」
「っ……、それくらい、できるわ……」
 強気に言い返して爆豪は切島の肩に手を置いた。膝をついた足は無様にも震えたまま、うまく力が入らない。
 それでも、爆豪はなんとか切島に寄りかかるようにして腰を上げた。切島に思いっきり体重をかけてしまっている状態だが、どれだけ爆豪が体重をかけても切島の上体はぴくりともしない。重圧な安定感。
 爆豪は、はぁ、と息を吐いた。
「よし、じゃあ下ろしていいぞ」
 爆豪の腰を支えながら切島が言う。
 さっきから命令してんじゃねェよ、と思ったが、今度はなにも言い返さずに爆豪は言われるがまま、そろそろと腰を落とした。ゆっくりと恐る恐る。
 切島の熱い先が後孔に触れた瞬間、思わず動きをとめたが、ぐぅと深く息を吐き、そしてすぐに大きく息を吸うと腹に力を込めてから、またゆっくりと腰を下ろしはじめた。
「ん、く……ん、ぅ……っ」
「爆豪、無茶するなよ。ゆっくり、ゆっくりな……」
「わぁ、ってる……ぁっ」
 ずぷずぷと中に切島が入ってくる。十分に解されたおかげで痛みはない。だが、強い圧迫感に息が詰まった。奥歯を噛みしめる。苦しい。苦しい。でも、それだけじゃない。
 そう、それだけじゃない。広げられていく。太く膨らんだ頭部分が中の壁を撫でるたびに、ぞくぞくとした震えが襲ってきて、唇が震えた。たまらない。あぁ、本当にたまらない。
 しかし、だからこそ辛くもあって、爆豪は切島のものを半分ほど飲みこんだところで、ぴたりとその動きを止めてしまった。
「はッ、はァ、っく……、はぁ」
「爆豪、大丈夫か? いけそうか?」
「ぅ、ぁ……」
 平気だと言いたかった。だが、言葉にならなかった。足は震えたまま、中途半端な姿勢をキープするのは辛い。かと言って、これ以上腰を下ろすことはできなかった。現時点でもう十分すぎるほどいっぱいいっぱいであるのに、これ以上だなんて……。
 爆豪はふぅふぅと荒く息をくり返しながら、ふるふると首を横に振った。
「そっか。……よし、じゃあ俺が支えるからさ、爆豪は俺に全体重預けちまっていいぜ」
「……ぅ、く」
「ほら、な?」
 俺に任せろって、と切島は手首で足の付け根を支えるようにしながら爆豪の尻に両手を添えた。爆豪は少し迷ったが、切島の首にすがりつきながら恐る恐る足の力を抜いた。
 爆豪の体重を受け止めた切島の腕の筋肉が、ぐ、と膨らむ。決して軽いとは言えない重みだろうに、爆豪の身体を支える切島の太い腕は震えるようなことはなく、やはり重圧な安定感を感じさせた。

「下ろすぞ」
 いつものように宣言してから、切島はゆっくりと爆豪の身体を下ろしはじめた。
 ぐ、ちゅり。音をたてながら、切島のものが指では届かないところにまで入りこんでくる。
「あ……、ぅあ……、ん、く……ぅ」
「ん、大丈夫、大丈夫な」
「ぅ、んぁ……、あ、あッ」
「ちょっとの辛抱な……」
 優しくなだめるように、切島は声をかけ続けてくる。
 低い声は、大きく変化してしまった体格と一緒で、本来の切島のものとは少し違う。けれど、その声に爆豪が不安を覚えることはなかった。むしろ、低く鼓膜を震わせてくる声に安心感に似たようなものすら感じて、爆豪は無防備に身体を預けたまま、ぐちぐち、と中を広げ続けられる感覚にひたすら身を震わせた。
「あと、少し……っ」
 切島の息が乱れる。だが、あくまでの中を押し進めるその動きはゆっくりなまま、切島は欲望を限界まで膨らませながらも慎重に爆豪の身体を下ろした。
 やがて、尻に切島の手のひら以外のものが当たる。
「っし、全部入ったぞ爆豪」
「んん……っ、」
 はぁはぁと息を乱しながら爆豪はぎゅうと切島の頭を強く抱え直した。切島は、苦しいって、と眉尻を下げる。しかし、爆豪の腕を振り払うようなことなどしなかった。
 苦しそうなのに、それでいてどこか嬉しそうな表情で、ちぅ、とまた爆豪の胸元に口づける。軽い感触。それなのに、深いところを散々いじられて高められた身体はそれだけでびくりと反応を示してしまった。その拍子に中がすれて、爆豪は、あっ、とさらに声を上げる。
「きり、し、ま……ッ、それ、やめ、ろっ!」
「んん〜、でも気持ちいいだろ? すっげぇいい声出てる」
「ふ、ぅ……っ、」
「もっと気持ちよくなろうなぁ、ばくごー」
 目を細めて切島が笑う。顔つきのせいだろうか、やけに大人っぽい笑み。
 その笑みに、爆豪は心臓がひとつ跳ねるのを感じた。ざわつくような不快な感覚ではない。心臓と一緒に身体の芯のほうがきゅんと震えるような、そんな跳ね方。



◇  ◇  ◇



「んぅ……、はっ、ぁ……、ん……っ」
 最初は、ゆるやかに腰をゆするような動きだった。爆豪の中に自分の形を覚えさせるような、静かな律動。爆豪はゆるゆると腰を揺らされながら、堪えきれない声を断続的に漏らした。その声はどこまでも甘く、苦痛の色はない。
「爆豪、動かすからな」
 そっ、と告げてから、切島が爆豪の身体を持ちあげる。
「あっ、あ……」
 深く飲みこんだ切島のものが、ずるずると抜けていく感覚に背筋が震えた。中が、まるで切島を引きとめるようにぎゅっと絞まる。
 切島は絡みつく肉壁に、く、と唇を噛んだ。だが、動きを止めることはないまま、抜けるか抜けないかぎりぎりのところまで身を引いた。雁首が縁を引っ張るように押し広げ、かと思えば、ぐぐとふたたび深く咥えこまされ、今度は背筋だけじゃなく全身が震えた。
 突き抜けるような快感。爆豪はたまらずに強く目をつぶった。
「あっ……! んんっ……、んあ……、く、あッ!」
 持ちあげられては下ろされ、あげられては下ろされと何度も何度も上下に身体を揺さぶられ、そのたびに、ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ、と音が響く。
「んぅ……、ぅ、あ、はっ……、あ、あっ……!」
「爆豪、はっ、爆豪……っ」
「うぁ、あっ、んん……ッ!」
 体勢が体勢なだけに律動自体はそう激しいものではない。
 だが、足に力が入らないせいで体重がそこ一転に強くかかってきて、いつもより深いところまで切島のものが届いてくる。腹の底からずんと思いきり持ちあげられるような衝撃。苦しい。けれど、この上なく、気持ちがいい。
「ばくごー、なぁ、ばくごー」
「あっ、あっ、ふっ、んあッ」
「目ぇ閉じんなって。ちゃんと、開け、よッ」
 揺さぶる動きを止めないまま、切島が息を荒げながら言った。
「俺のこと、ちゃんと見ろ、よっ、なぁ」
「ぁ、っんん……、ふ、あっ」
「爆豪っ。ほら、いい子だからさっ」
 優しく促されて、爆豪はあちこちに飛びそうになる意識をなんとか制して、ゆっくりと目を開けた。いつもだったら、誰がいい子だ馬鹿にしてんのか!? と反発心を抱いたことだろうが、いまは不思議とそんな気持ちにはならなかった。
 目と目が合う。そうすれば、切島は嬉しそうに口元を緩める。
「気持ち、いいなっ、爆豪」
「んん……っ、き、りし、ぁッ、んく……あっ!」
「爆豪、ばくごー」
 意味もなく名を呼ばれる。切島は、ず、ず、とリズミカルに爆豪の身体を揺らしながら、表情を崩した。尻を支えている両手が、くにくにと揉むように動く。その拍子に縁が引っ張られ、爆豪はより一層切島の形を意識してしまった。
「ふへ、ばくごー、腰揺れてる」
 気がついてるか? と切島は尋ねてくるが、そんなの知らない。
 ごりごりと中を擦られるだけでも喘ぎ声が止まらないほどたまらないというのに、ずちゅずちゅと揺さぶられるたびに、ぼこりと綺麗な六つに盛り上がった固い腹筋に起ち上がった性器がこすれて二重でたまらない。もっと、もっと、と意識はそればかりで染められてしまう。
「きり、しまァ……っ、んん、あっ!」
「ん、大丈夫だ爆豪」
 名前を呼べば、それだけですべてを理解したように切島は頷き、奥のほうを小刻みに揺らすように突いてくる。
 爆豪は切島の頭をさらにぎゅうと抱え込んだ。赤い髪に鼻先を突っ込んで、切島のにおいを感じる。あぁ、切島だ。そう思った瞬間、またしても腹の底がきゅんとした。

 どくどくと心臓の鼓動が早まっていく。いつの間にかこめかみにたっぷりと浮いていた汗が揺さぶられた拍子に頬をつたって顎から流れ落ち、そのままうるさく騒ぐ胸を濡らした。
 切島が、その落ちた汗を舐め取るようにして胸に吸い付いてくる。散々にいじられ、芯を持った突起を転がすように舌先で舐め、思いだしたように、ちぅ、と吸う。当然、その間も中を穿つ律動は止まらない。
「あっ、うあっ、あ、きりしまッ! んぅ、ぅ〜ッ、あ、もう、むりっ……むりぃ!」
 たまらずに爆豪は叫んだ。
「っ、は、は……ッ、いいぜ、爆豪。イっちまいなッ」
「ひ、あッ!」
 がつり、とより強く中を突かれる。隙間など少し作らないほどに強く腰を抱かれて、腹と腹の間に勃起しきった性器が挟まれた。外からも中からも、あらゆるところから強い快感が爆豪を襲う。もう、なにも考えられなかった。ただただ、されるがまま快楽の渦に身を任せる。
「あッ、あッ、あっ……! はッ、んく、あぁぁあ……っ!!」
 そして追い打ちをかけるように切島の歯が、かりっ、と胸に噛みついてきた瞬間、爆豪は高めに高められた熱を吐きだした。弾けるような快感。身体が断続的に跳ね上がり、後孔が、ぐ、ぐ、と勝手に収縮をくり返す。
「くっ、ぅ……!」
 強く絞めつけられて切島が堪えきれぬように小さくうめいた。そしてそのまま、続くようにして切島もまた爆豪の奥深くへと熱を放った。
 これ以上はもう無理なのに、それでもまだ押し込むように腰を振りながら射精を続ける。そのたびに、びくびくっ、と切島のものが跳ねるように中を抉って、爆豪は喉を鳴らした。
「は、ぁ、ぁ……、ん、く……はぁっ」
「〜〜〜っ、はぁ、爆豪、ばくごー」
「あ、んん……、ん、む」
 すべてを吐きだし終えた切島はやおら爆豪に顔を近づけてくると、そのまま唇に口づけてきた。それを素直に受け止めれば、爆豪の唇をむにむにと遊ぶように噛んでから、舌を差し込んでくる。爆豪は、その舌に進んで自らの舌を絡めた。ちゅくり、と音がたてながら二人はしばらくのあいだ無我夢中に口づけを交わし合った。


 やがて唇が離れると爆豪はふと全身から力を抜き、無防備に身を投げだした。
 重力に引っ張られた身体はぐらりと揺れて、同じように視界がぐらり揺れる。見慣れ始めた天井が映って、そのまま背中からシーツにダイブするその直前、切島の両手が爆豪の身体を支えた。切島は、ゆっくりと丁寧に爆豪をベッドへと横たわらせると自身もその隣へと横たわった。そして、ぐっ、と腕の中に爆豪を閉じこめる。
「爆豪、へーきか……?」
「……へーきだ」
 拒絶はない。身体はじわじわと温かく、胸にもあの気持ちの悪い嫌悪感はなかった。
「そっか」
 それならよかった。切島はほっとしたように息をつくと、ちゅ、ちゅ、と頬やら首筋やら絶え間なく口づけてきた。爆豪は口づけられるたびにぴくりぴくりと肩を揺らす。
「や、めろ……、くすぐってぇ」
「んん〜? くすぐったいだけかぁ……?」
 懐くようにすりすりと切島が頬を寄せてくる。爆豪は口では嫌がりながらも、寄せられる頬の温かさを享受した。撫でられてぐるぐると喉を鳴らす猫のように目を細める。緩やかで心地のいい雰囲気に、少しの眠気を覚えた。
 まどろみに片足を突っ込む。このまま眠りについたのなら、きっと気分がいいことだろう。爆豪はあくびを一つこぼした。

 だがしかし、そのちいさな夢の気配はあっという間に飛散していくことになる。


 なにかが足に触れた。正確に言うと太ももの部分。熱いなにか。
 なんだろうか。首をかしげかけて、爆豪はすぐに気がついた。覚えのある硬い感触。いや、でも、まさか。さっきのいまで?
「切島、お前……」
「どした? ばくごー」
 わかりきっているだろうに、切島はわざとらしく尋ねてくる。にやにやと楽しそうな表情は、まるでスケベなセクハラ親父のよう。少しどころではなくイラッ、ときた爆豪はさっさとその顔から視線をそらすと、感触の正体を確かめるべく太ももへと目をやった。そうすれば案の定というべきか、力強く勃起した切島の性器がそこにはあった。
「おっ、まえ、たったいま出したばっかりだろうがッ」
「うぅ〜ん、そうは言っても起っちまうもんは仕方ねェだろー」
 そんな責める言い方しなくっても、と切島は弱ったように眉尻を下げつつも、わざとらしくそれをあててくるのだから、こいつも案外いい性格をしていると思う。つーか、まじで回復が速いなんてもんじゃないだろこれ。
 元より切島は一発出したくらいでは大人しくならない性質であるが、いくらなんでも速すぎる。まさか、身体と一緒にそんなところまで成長しているというのか。そんなことを考えて、ふと爆豪は気になった。あるひとつのこと。
「…………」
 足に触れてくる熱くて硬く、そして大きな、それ。
 している最中はいろいろといっぱいいっぱいであまり意識しなかったが、やっぱり、そこも、大きくなった手のひらと一緒で、普段より、その……、あれ、なのだろう、か……。
 気になる。低俗極まりないが、気になるものは気になる。

「……………………」
「爆豪? なんだよ黙りこんじまって」
「……おい、切島。おまえ、ちょっとそこに座れ」
「え? お、おう?」
 突然の指示に切島は首をかしげたが、すぐに胡坐を掻いて座ってみせた。爆豪は身を起こすと、切島の股間へと視線を落とした。見つめる先、切島のものはもうすっかり回復しきっていた。
「…………」
「あの、爆豪さん? 押し付けたりしといてなんだけど、そこまでまじまじと見つめられると、流石の俺も、その、照れるといいますか、なんといいますか……」
「うっせぇ……、なに言ってんだ」
「いや、ある意味めっちゃ興奮はすんだけどな?」
「……まじでなに言ってんだ。おまえ、ちょっと黙ってろ」
 きっ、と切島を睨みつけてから、爆豪は血管をばきばきに浮かせて勃起しているそれにゆっくりと顔を寄せた。
「あ、え、嘘、爆豪、咥えてくれんのっ?」
「……だからうっせぇ、いいから黙ってろ」
「はいっ」
 いい返事とともに切島はきゅっと口を結んだ。しかし、その端はゆるゆるとだらしなく緩んでいる。そんなに嬉しいのか。
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